2008年 香港合宿の記憶 はじめに6(副部長失踪)
夏休みは京都での絵ハガキの旅以外、サークルでの活動は特に何もなく…僕はアメリカを旅したり、各部員各々、夏休みをしたのだと謳歌したのだと思う。
9月19日に秋学期が再開し、香港合宿への準備を急ピッチで進めないといけなくなってきた。
スケジュールとしては10月10日までに旅行プランの選定と参加人数の確定、10月15日ごろに旅行会社申し込み、10月20日ごろに集金完了し入金、10月30日出発というものだ。
~~~~2週間経過~~~~
そして、あっという間に秋学期開始してから2週間。一応、2回の会議で香港3泊4日、5万2000円のプランに決定し参加者の最終確認という段階に入っていた。
ただ、いつもと違うことがある。
副部長の工学部女子Oさんが部活動に現れないのだ。
部室利用ランキングでは僕に続いて利用頻度が多いOさん。
最初は忙しくて部室に顔出せないんだろうと思っていたが日が経つにつれ、少し心配になってきた。
「たまたま来れてないのかな」
「サークル辞めちゃったのかな」
それとも・・・・いや、これ以上は想像しないほうがいい。
そんな矢先の昼休み、部室で団欒していると、Oさんと同じ工学部の仲良し女子グループ3人組がやってきて、いきなり衝撃発言を発したのだ。
「Oさん、大学に全然来てないんです」
心の中で『やっぱりか!』と思ってしまった。
サークルだけでなく大学にも来ていないとなると、ただ事ではない。
仲良し女子グループの子がさらに続けた。
「メールも届いてるようなんですけど…何の返信もないんです」
仲良し女子は、すごい心配しているようで、サークルの部室を藁をもすがる思いで訪れてくれたのだろう。
正直僕は、個人的な連絡をするほどOさんとは仲良くない。
僕から答えれるのは夏休みの京都旅行ドタキャンの件だけだった。
京都旅行ドタキャン事件が、今回の件と関係があるかわからないが
僕が一通り、その事件の詳細を話した後、仲良し女子の一人が、かなり迷いながら携帯の画面を見せてくれた。
そこには一通のメールが…差出人はOさん
『しばらく旅に出ます』
送信日は9月10日。秋学期始まる1週間前の話だ。
友人は最初、いつもの冗談だと思い『どこへ行くん?』と返したが返信が来なかったので・・・旅行系サークルの僕らなら何か知っているかもと思い、部室にやってきてくれた。
結局、何の情報も得られず彼女たちは去っていった。
何の力にもなれず、もどかしい思いとOさんの所在が益々、心配になってきた。
サークルの最年長でOさんと個人でも連絡しているアジア放浪女子Sさんに相談すると
こっちからアクションをしかけていこうとなりSさんからOさんに電話。
電話はコール音は鳴るもののつながらず・・・最終手段としてメールを送ることに。
メールの内容は『香港合宿に決まったこと』『心配なので気が向いたら顔見せてください』という差しさわりのない内容である。
その翌日、まさかの返信があった。本人からではなく母親から・・・
突然のメールですみません。娘にいつも親切に仲良くして頂き有難うございます。娘ですが、事故にあい入院中です。いきなりメールをさしあげましたのは 会計として預かっているお金をお渡ししたいと考えたからです 今年も海外旅行の季節となり、物入りの時期に会計が突然休みだし、部長さんには本当にご迷惑をかけて、申し訳ありません。
その後、何度かやりとりし部費の返金があり、失踪事件は副部長Oさんの入院→休学ということでひとまず解決した。
ただ、このメールに物凄い違和感を覚えた。
多分、母親は噓をついている。あえて、ここでは話さない。僕の邪推かもしれないから…。
モヤモヤした気持ちのまま、香港合宿の準備は佳境を迎える。
追記:結局Oさんは復学しなかった。春学期のテスト打ち上げがOさんとの最後になってしまった。